野球肩
野球肩は、投球に伴って発生する肩周辺のスポーツ障害の総称です。
投球動作はワインドアップ相、初期、後期挙上相、加速相、初期、後期フォロースルー相の6相に分けられています。ワインドアップ相から後期挙上相では肩の前方にストレス損傷を生じ、後期挙上相から初期フォロースルー相では前方、上方、後方に損傷が生じ、フォロースルー相では後方に損傷が生じます。
発症の原因は、投球過多、フォーム不良、股関節や体幹などの全身的要因により肩関節に負荷が加わって発症します。肩関節の前方の緩みや肩関節後方の筋肉、関節包の硬さが原因であると考えられています。
診断にはX線検査の他、超音波検査(エコー)を用いた詳細な診察が必要です。場合によりMRI検査が必要となることもあります。
治療
まずは投球制限による安静とフォームチェック、全身のコンディショニングを整えます。
肩関節に対してはストレッチ、特に後方ストレッチにより肩関節の硬さを軽減し、肩甲骨の可動性の回復を図ります。また、腱板訓練などのインナーマッスルトレーニングにより安定性を向上させます。
さらに注射や投球フォームの改善指導を行ってみても、3ヶ月以上なかなか改善しない場合は関節鏡を用いての手術が必要となることもあります。
予防
野球肩は投球回数の過多やフォーム不良、下半身や体幹の要因も大きく関係するスポーツ障害です。肩関節周囲、股関節や体幹の筋肉強化とストレッチ、練習後のアイシングも重要です。
また、選手に無理をさせない練習メニューや球数制限をすることも野球の指導者に求められる予防策です。
青少年の野球障害に対する提言-日本臨床スポーツ医学会学術委員会-
練習 | 全力投球数(試合を含む) | |||
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日数 | 時間 | 1日 | 1週 | |
小学生 | 週3日 | 2時間以内 | 50球 | 200球以内 |
中学生 | 週1日以上の休養日 | 70球 | 350球以内 | |
高校生 | 週1日以上の休養日 | 100球 | 500球以内 |