疲労骨折について
疲労骨折は、骨の同じ部位に繰り返し加わる力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいいます。スポーツ選手においては、短期的・集中的にトレーニングを行ったときに生じることが多いです。
選手側の要因としては、筋力不足、アンバランスな筋力、未熟な技術、体の柔軟性不足などが考えらます。また環境側の要因としては、オーバートレーニング、選手の体力や技術に合わない練習、不適切なシューズ、練習場が固すぎる、柔らかすぎるなどが考えられます。下肢に起きることが多いですが、肋骨や前腕などに症状が出るケースもあります。その他、腰椎の疲労骨折も多く、その場合は腰椎分離症とも呼ばれます。
検査・診断
診察を行い、明らかな外傷がなく慢性的な痛みがあるときは疲労骨折を疑います。X線検査やMRI検査を行いますが、X線では初期の疲労骨折はわからない場合も多く、数週間後に再度検査をするかMRI検査をします。この他にCT検査を行う場合もあります。
治療
疲労骨折が起きている部位や症状の進行度合いによって、治療内容は異なります。骨は自己修復する性質を持つため、一般的に軽症であれば、運動を休んで安静にすることでほとんどの症状が治癒します。運動を休止する期間は骨が再び接合するまでで、おおよそ4~6週間を要することが多いですが、当院では超音波骨折治療器LIPUSを用い骨癒合を早める治療を行っています。まれに疲労骨折で難治性の場合は手術を要することもあります。
疲労骨折は初期に適切な治療できれば治療期間は短くて済むため、早期に診察を受け治療を開始することが重要です。
治療後の再発予防の注意
疲労骨折は再発することがよくあります。そのためスポーツに取り組む際は同じトレーニングの繰り返しを避けるなど、負荷が過度にならないように調整していくことが重要です。また、疲労骨折の治療後に運動を再開する場合は、原因となった動きの修正や、靴の中敷きを見直すなどの対策が再発防止につながる場合もあります。
病気や加齢による体の変化が原因となっている場合は、骨密度の低下を防ぐために、栄養バランスの改善や、日光に当たり適度な運動を行うことも有効です。